人間自販機自販機で女を買って、ヌキ終わったらリサイクル。

この作品は、「消費の快楽」を人間関係にまで拡張した極端な社会風刺として構築されている。舞台は、女性が自動販売機で購入可能な世界。喉が渇けばジュースを買うように、性欲を感じれば“女を買う”というシステムが当然の風景として存在する。感情や倫理の介在しない構成が、都市の無機質さと性の機能化を際立たせる。視聴者が感じるのは、興奮よりもまず「倫理の剥離」を描く人間自販機という設定の完成度だ。硬質なSF的トーンが全編を貫き、狂気に満ちた静寂が作品の軸にある。

向坂美々と七咲楓花が“商品”として登場。表情は笑みを固定され、感情を失った微笑が一種の造形美として機能する。美々は完璧なフォルムとしなやかな肢体で、人形的な魅力を体現。七咲はより生々しい色香を纏いながらも、冷めた視線の奥に残る“人間性の微光”が視聴者の倫理観を刺激する。口コミでも「無反応な女優を好き放題」という評価が散見され、フェティッシュな無表情プレイや支配／服従の構図が、本作を構成する重要要素となっている。

性交描写は徹底して行為の反復と消費を象徴。美々が正常位で押し上げられ、また側臥位で脚を高く掲げられる姿には、羞恥の演技ではなく、機械的な奉仕の美学が宿る。唾液が舌を伝い、光を反射する口内描写や、腰の震えすら演出の一部として管理された冷ややかさが特徴的だ。「興奮した」「抜ける」といった視聴者の声にも、興奮と同時に感じるゾクリとした背徳の温度差が現れている。プレイの応酬では、女優の身体が“道具”として扱われるという女性支配フェチの原型が緻密に再構成されている。

SODクリエイトが得意とする企画作品群の中でも、本作は実験精神の強い一編だ。CHAIN宗監督による冷徹な構図と、SE含む空間演出は徹底した“消費社会の寓話”として完成度が高い。「人間を商品化したシステムドラマ」としての完成度は、ヤプー的テーマをAV表現へ昇華させた稀有な例ともいえる。レーベル特有の知的で冷たい叙情性が光り、視聴者の倫理観と興奮をせめぎ合わせる。一線を越えたフェティシズムAVとして、企画ジャンルの深化を象徴する存在だ。